Werther_is_kyokon’s blog

R18となっております

懐旧

8時過ぎに学校に行って、10時過ぎに申し訳程度の時間を潰して、昼に大して美味くもないし好きなもんでもない飯を食わされ、その後適当に遊んで民主党の支持母体の連中に洗脳されて帰路につく。

 

15年前の俺の1日はこの連続だった。毎日、毎日、毎日──。

 

そんな毎日が嫌で、好きなものを好きな時に食える大人が凄く羨ましくて、学校という塀の中から見える外の大人が無性に自由に思えて、俺はあの時は一刻も早く大人になりたかった。

 

三日前

俺は1つの電子媒体を目の前にしていた。

 

ポケットモンスターなんとかサファイア

 

15年前の俺が、子供だった俺が、大人に憧れてた俺が夢中になってやってた、「ポケットモンスターサファイア」のリメイク版じゃねぇか。

 

やってみた。

 

感想を言おう。

        

                        “””響いてこない”””

 

幾ら電子媒体と格闘しても、当時のまだ何も知らなかった世界へ1歩踏み入れた感覚はない。ただそこにあるのは惰性に生きた大人が生み出す虚無の世界。違う。俺は"これ"が欲しくて金を払ったんじゃない。「未知との遭遇」とでも形容すべき、嘗ての西洋の探検家たちが成しえたような、自分の知らなかった存在と会合した時のあの純粋なまでの感覚、これが欲しい。なんであの時と同じキモリを選んだのに、同じ技を覚えさせたのに、あの感覚は蘇ってこないんや、、、、、、?。

 

その刹那、俺はこの15年で失ったものを数える。

穢れも知らない無邪気な”俺”、無知故の夢を持っていた"俺"、まるで自分が世界の中心にいるような錯覚をしてたクソガキの”俺”。

 

これだ。

 

自分の中で何かを悟る。それは昔世界を動かした数多の人々、もとい英雄に共通する明確な答えなのかも知れない。

 

そこからは早かった。実家に帰るなり「んママァただいまぁ」と今年23になる無職が叫び、(この時全く動じなかった母親もどうかしてるとは思う)ガリガリ君を一瞬でたいらげ、嘗て住んでいた社宅付近まで自転車で赴いた。真夜中に1人、よく遊んだブランコに揺れた。あの時の俺が蘇る。昔通ってた小学校の前に辿り着く。そうだ、俺は抗ってたんだ。大人の理不尽さに気づきながらも、俺はそれを認めたくなかったんだ。次第に現実が遠のいて行く。目を閉じれば、そこに広がるのは当時の俺と、ともだち。

あの頃の俺は子供特有の理不尽さに耐えていたような気がした。今となってはすっかり忘れてしまった、どこかのクソガキにバカにされたこともあったような気もするし、早生まれで身体が小さかった分苦労もしたような気もした。そんな毎日の、子供だろうとある日常の混沌を、忘れさせてくれたのがあの"世界"だったのだ。

 

そうか

 

俺にとってのサファイア

 

「夢」だったんだな。

 

ここで現実に引き戻された。夢から醒めた俺は帰路に着く。途中、腹が減ったので昔家族でよく食ったラーメン屋に行く。無論好きなもんを好きなだけ食う。これが昔思い焦がれていた俺がやりたかったことだ。途中、何故か酒が飲みたくなった。無論普段俺は酒なんぞ飲まない。寧ろ、酒を浴びるように飲む人間は自制心のない阿呆だとすら思う時もある。しかし何故かあの時は酒を欲した。(当然のように一口飲んで全て捨てる羽目になったのは言うまでもない)

 

今、俺は紛れもなく据(しがらみ)の中にいる。就職、学歴、卒論、人間関係、、、

そういう意味では、当時の俺と本質は何も変わっていないのかも知れない。ただ、一つ言えるのは、俺はもう二度と夢をもってあの電子媒体の世界に入れないという事だろう。

いや、そもそも3500円(中古で購入)という当時の俺からしたらとてつもない大金を、なんの躊躇もなく払った時点で俺はあの頃には戻れなかったのかもしれない。

 

(完)

 

追記:先程うんこをしながら当時のカセットを理由もなく触ってたら、うんこの中にカセットを落とし、無事俺の”夢”とやらはうんこと共に果てました。一応腹を括り人生2度目の「うんこの中に手を突っ込む」という決死の特攻をした事で骸は拾ったのですが、この調子だと中のデータは吹っ飛んでそうです。うんこって今も昔も同じ形ですねヮラ。