Werther_is_kyokon’s blog

R18となっております

恥の多い人生を送ってきました

(歩きながらこの記事を書いたので適当な文章が続きます。予めご了承下さい)

 

現代社会は一言で言えば「ストレス社会」であろう。

 

現代人は日々ストレスを抱え、悩み、据(しがらみ)のなかを生きている。

 

私だって例外ではない。朝早く起きて理不尽な満員電車に乗り、何時間もかけてクソみたいなFラン大学に通い、メスからゴミを見る様な目で見られ、満員の大便器の前で「早く出ろやボケェェェェ!!!!」と叫ぶ毎日である。

 

諸君にもストレス発散法があるだろう。寝る、ギャンブルをする、カラオケに行く、お風呂に入る、その方法は多岐に及ぶかも知れない。

 

俺の嘗てのストレス解消法を教えよう。今俺は秋葉原駅にいる。

 

ここ秋葉原は全国有数のオタク文化の中心地であり、行き交う人はオタク、オタク、オタクである。瞳孔の開いた目に眼鏡をかけ、チェック柄の服とパンッパンに詰まったリュックを背負う”オタク像”に近ければ近いほどここでは偉い。目当ての店に脇目も触れずに闊歩するその姿に人々は平伏す。

 

まず俺は酒を買う。500mlのストロングゼロ、オタクの知る最強の酒。アル中御用達。

 

ストロングゼロ片手に秋葉原の街を練り歩き、適当なゲームセンターに入る。

 

お目当てのゲームは湾岸ミッドナイト。隣で楽しそうにプレイしてる高校生の集団を尻目に俺は100円を入れた。そして選択画面で勢い良くアクセルを踏む。ー乱入モードー

 

私はすぐさまストロングゼロを飲み干し、缶を高校生に見えるように台に叩きつける。そして叫ぶ。「ぅぉらぁぁぁぁあ!!!」

 

固まる高校生、一気に地獄絵図へと化す。ゲームが始まった。私のメルセデス・ベンツはギア1に設定して首都高を80キロで走る。正に安全運転のお手本だ。飲酒をしていることを除いて。

 

対する高校生は戸惑いながらも首都高を爆走する。こちらを見ながらヒソヒソ何やら俺の事を話しているように見えた。確実に俺の悪口を言っている。

 

ここで勝負に出る私。ハンドルを叩く。

「クソがッッッ!!!!安全運転ヮラ!!!」

 

見事な台パン。半径3mが一気に凍りつく。健常者だけに備わっている「絶対に関わっちゃいけない人」センサーが発動する。ここで健常者がとる行動はひとつ。”極力対象を刺激しないようにその場を離れる”だ。

 

高校生集団は全速力で首都高を走り終え、リザルト画面で貧乏揺すりよろしくアクセルを連打し、そそくさと去っていった。普通に強かった。(断っておくがこれは嘗て狂っていた頃の俺がやっていた事である。週2で高尾山に登り、クリスマスには半裸でダンベル片手に渋谷で「クソがっっっっっ!!!!!!!」と叫んでいた頃の俺である。今の俺は立派に社会復帰をしている)

 

次に俺が向かうのはそのゲーセンの裏にある通りだ。この通りはメイド喫茶が乱立しており、日夜メイド服や制服、何をトチ狂ったのか忍者の格好をした姉ちゃんまでもが行き交うオタクに黄色い声を掛けて客引きをしている。(ひとつ補足しておくと、気持ち悪いオタクが良くメイドを口説いているのだが、それが物凄い気持ち悪いので一見の価値がある、とだけ言っておきたい)

 

次のターゲットはこの姉ちゃんである。この通りを歩けばまず俺のようなオタク面、オタクスタイル、オタク臭、見事にオタクライズされた野郎は間違いなく声を掛けられる。そこを狙う。

 

👱‍♀️「メイドカフェのご利用いかがですか〜❤」

 

かかった。

 

「大丈夫で〜す❤」

 

👱‍♀️「え?」

 

呆気に取られるアラサー女。素が出ている。私がここでする事、それは『メイドの声よりも高い声で客引きをあしらう』というものだった。私の猛攻は止まらない。

 

👱‍♀️「おにーさんどこから来たの?」

 

🙃「火星から〜❤」

 

彼女たちはこの時何を思っただろうか。単純にメイドカフェより精神科の方を紹介しようとしただろう。半年以上髪を切ることなく放置したボサボサの頭、崩壊した顔面、5頭身の短足から繰り出されるありえない高音に彼女たちは翻弄され続けた。

 

字面だと伝わりにくいかもしれないが、この”メイドで遊ぼ♪”(勝手に命名していた)はかなり楽しい。彼女達のプロ根性と通り過がりの知的障害者俺、がプライドをかけたバチバチの勝負をするのである。何回もやってると彼女達も免疫がついて、「あ、また来てくれたんだ〜❤」等と言ってくる。本当に、大したプロ意識だと思わされる。彼女達の力でここ秋葉原の経済は潤っているのだ。いわば彼女達はアキバの歯車。”要”だ。(何度も言っておくがこれは”嘗ての”私がやっていた事で、今の私はこんな大それた恥ずべき真似はしないのでそこは何卒ご了承頂きたく思う次第であります)

 

さて、これで終わるかと言われればそうではない。まだやるべき事がある。私はメイド通りから秋葉原のメインストリートまで走り抜け、エスカレーターを全力で上がりソプマップ5階に辿り着く。エロゲコーナーである。

 

ソプマップ5階と言えばエロゲーの”権威”である。野球でいえば甲子園、学問でいえば東大、エロゲーがこの「ソプマップ秋葉原店の5階」なのだ。

 

「シュッ!!!www」私は5階にだけかかっているR18と書かれた暖簾を効果音を付けて捲る。店内の客が一斉にこちらを向く。ここでこちらを向くようでは二流、雑魚だ。大学生と思しき新米兵2人組は人をバカにする感じの悪い笑い方をしてこちらを見ていた。馬鹿め、ターゲットはお前だよ。

 

私は新米兵2人組に近づく。そして話しかけた。

 

「このコーナーって本当に色々なゲームが取り揃えてあって素晴らしいですよね」

 

抑揚のないオタク特有の早口を浴びせる。ここは秋葉原、この話し方が強者の証なのだ。

 

「そう、、、ですね、、、」

 

新米兵の1匹が困りながら言葉を返す。私はもう止まらない。

 

「私はこのグリザイアシリーズが本当に好きでして、キャラのデフォルメ、デザイン、脚本、何をとっても一流と言わざるを得ないんですよwwwははっwww」

 

もう相手は困り果てていた。見た事もない敵が目の前にいるのだ。2人組は去っていった。それを日常のように店員は笑顔で眺めていたのが印象的だった。

 

2人組が帰った後も私はエロゲーコーナーを練り歩く。「うわぁ、このシリーズ新作出たんだぁ」「この主題歌やっべぇwww」「うっわぁ〜すっげー」なるべく高い声で、少年のように声を出す。本当はエロゲーなど金の無駄だと思っているのだが、エロゲーこそ我が人生、生きる糧、みたいなオタクを演じる。俺の撒いた餌にかかるまで俺はただ待つ。

 

エロゲー好きなんですか?」

 

釣れた。大物だ。

 

「そうですね、初めて、、5年くらいになるんですけど、もうかれこれ50本以上はやってるんじゃないですかね〜」

 

先程の新米兵とは比べ物にならないオタクライズされたオタク。いわばこの街の頂点。ドンof theドン。それが釣れた。

 

「そうなんですか、私はもうWindowsの初めの頃の時代からやってるんでwww数えきれないほどやってるんですけど(謎のイキリが入った)、どんなシリーズがお好きなんですか?」

 

「グリザイアです。(知ってるエロゲーがこれしかない。)」

 

「そうですか!!!グリザイアと言えば〜dj*kakbse)dksiebr@klzzndbr_wh@8e8oo...」

 

ここから先はマジで意味不明だった。にわかと本物、この格の差を知った。キメェ。シンプルにキメェ。

 

「よろしかったらこれ僕のTwitterのアカウントなんですけど、良かったらフォローしといてください」

 

そう言ってドンは俺にTwitterのアカウント画面を見せてきた。アイコンに幼女の顔面に精液がぶっかけられていた絵が挿入されていた。BIOには「ロリが好きです!」とハッキリと銘記されていた。キモい。キモすぎる。俺が過去に会ってきた誰よりキモい。何故こいつは隠す事なくこんな醜態を見ず知らずの人間に晒せるのだろうか。俺はわからなかった。人類はここまでキモくなれるのか。この時また1つ俺は人類の可能性を知った。私は笑顔で立ち去り、通報画面を押した。

 

3度目だが、この一連の行為は私が全力で頭がイカれてた時代にやっていた事である。今はそのゲーセンで大人しく音ゲーをして、メイドには顔を覚えられたまま「ありがとう」と手を振り、ソプマップには二度と立ち入っていない。

私は社会復帰をしたのだ。

 

P. S さっきソプマップ5階に行ったらドンがいて慌てて逃げた。俺はいつまでもここでは新米兵だ。

 

(完)